Sketch book

 2003年5月だったと思います。私が長年働いていた原宿のお店が会社の方針でCloseになり、私は会社に残らずその店の閉店と共に退社しました。既に次のことを考えていた私はすべての荷物を整理してSFへ旅立ちました。それはその年の7月だったと思います。とは言ってもビザをとっていないので90日後には帰国します。とにかく、その90日間でapprenticeshipを見つけるため、私はportfolioとして自分の絵を一冊のファイルにまとめ、それと水を片手に歩き回りました。まずは滞在先であるex.band mateのアパートから近いOaklandにある、知っている人の経営の店から尋ねて始めました。

 もちろん、1日、2日では見つかりません。そんなに簡単には行かないものです。断れ続けました。その度に検索はできないので、断れながら、その店の人に他の店を質問し、場所とオーナー名のnoteをもらって次に進みました。また、必ずしもオーナーがお店に居るわけではありませんでした。それでも1週間後には何とか、めどがついたと思います。そのお店はこのブログに度々登場しますが、現在はありません。その店とて、その日のうちに決まったわけではなく、3段階のステップを踏まされました。初めて尋ねたときに質問した人、別の日にオーナーではなく、その次にあたる人、そしてまた別の日にやっとオーナーと会うという段階を取られました。あっという間に90日は過ぎました。

 当然ですが、そこではすべて英語です。まず人々の顔と名前を一致させるだけでも一苦労です。私は滞在先の近所にあるアートサプライショップで小さなスケッチブックを1冊購入し、そのスケッチブックをノートにも使いました。まずは、お店の人々だけでなく、周囲の人々の特徴と名前を書き、あとは私がやらなければならない仕事を挿絵付きで書き込んで行きました。スケッチブックの背表紙からは、アイデアを思いついた時の落書き帳として使っていました。

 ある日、HenryがPigmentsのcookingをするというので、スケッチブックを持ってお店の奥にある小さなキッチンに立ち、そのレシピとcooking方法をノートしました。Pigmentsは食べられる材料でできた粉末状のものです。それを料理します。これはお店によって異なります。このように、作るお店はほとんどないと思います。Pigmentsだけでなく、そこではneedlesも作らなければならず、基礎や歴史を勉強するのにはもってこいの場所でした。しかし、そこから先がいろいろな意味で難しです。

 このようにして、スケッチブックには、お店にある4つのステーションとそれぞれのセッティングの仕方や、人々の出勤スケジュール、朝の準備から、掃除の仕方、その他もろもろが書き込まれて行きました。すべて私が書き込んだのですが、紙の種類や画材の名前など特定の名称はその都度、それを話している本人に書いてもらいました。スペルミスがあると本体を見つけるのが困難になるためです。

 早い話が、そのスケッチブックを2013年SFを離れるときに破棄しました。これが後に影響するかどうかは知りませんが、ないものはないです。私にとってそれは、帰国するにはある意味over weightだったのです。なぜ、もう無いスケッチブックの回想録など今更書いているのか?それは、先、ふと思ったのです。私はこのブログをそのスケッチブックと同じように使っていると。絵を直接描き込むことはできませんけどね。待てよ、もしかしたら、絵を直接描き込めるプラグインがあったりして(?_?)

 スケッチブックとは関係なく、ブログの話ですが、私は2007年からブログを書き始め現在に至ります。実はその前の日本でも少し書いていましたが、直ぐやめてしまいました。2003年から2004年にSFへ三たび渡りました。その間も書いていたと思いますが、全く記録としては残していません。キャッシュが残っているかどうかも知りません。ただ、英語の話として書いたのが、SFに3ヶ月日本に3ヶ月、SFに3ヶ月の繰り返しをしていると耳が忙しいのです。そこで、私は「英語耳」という言葉使いました。そしてその状況も書きました。2013年に帰国後、ラジオの某CMを聞いた時は”あれ?どこかで聞いたことある”と思い、今もそれを聞くたびに正直、内心、ムカッときます。

 しかし、そのような仕事はありがちです。これから先もそうなって行くのでしょう。人々は刷り込まれます。いつの間にかどこから始まったのかも忘れます。私も昔、レコーディング直前に”楽曲が短すぎる!あと2,3曲作ってくれない。”と言われて、曲を考えるためにギターを持ったまま寝てしまったことがあります。その時、出てくる曲が、”あっ、これいいかも?あれ、ちょっと待てよ、どこかで聞いたことあるなぁ???”の繰り返しになりました。つまり、それらは、意外と単純な要素でできているため、オリジナルの作者をよそに、自分で作ったような錯覚を起こします。その時、気づくからまだいいですが、そのまま、自分のオリジナルとすると、場合によっては危険です。この続きは、またいつか書くことでしょう。

Author: Hariillustrated

a Black and Gray Illustrator | Graphic Designer